繰り返し鑑賞するに値する名作
「黙れ小僧!お前にあの子の不幸が癒せるのか 森を侵して我が牙から逃れる為投げてよこした赤子がサンだ 人間にもなれず 山犬にもなりきれない 哀れで醜い可愛い娘だ お前にサンを救えるか!」
美輪明宏の腹の底から轟かすあの太い声音 初めてこの台詞を聞いたときから 鮮烈な印象を残し サンの哀しい運命が胸に沁みる
烏帽子御膳の善と悪 美しさの中に孕む狂気を滲ませる 田中裕子の素晴らしさ
アシタカを体現する松田洋治の安定感のある 漢らしさと優しさが横溢する
調子の良い坊主の小林薫の強かで抜け目の無い いやらしさが突出していた
昼と夜とで姿を変えて 生かすことも命を奪う事も選べる 恐ろしくも美しい 神を描き
更には その神殺しまで描いてみせる 軽々と ある一線を超えてしまった 今作の齎した 影響力は計り知れない