matchypotter

もののけ姫のmatchypotterのレビュー・感想・評価

もののけ姫(1997年製作の映画)
4.3
「我が名はアシタカ。東の果てよりこの地へ来た。そなた達はシシガミの森に住むという古い神か!」

••••「去れ!」

もうこれは殿堂入りの作品。
結構アニメにしては衝撃的な描写があるので、海外ではこれにRがついてることもあるとかないとか。

これを初めて観たときは戦隊モノとかドラゴンボールとかに勤しんでる自分が少し大人になったと錯覚するほど、これまでの自分のアニメーションの常識を覆された。
何度も観たが今回観てもやはりそのスゴさに圧倒される。

人間が生きるために木を切り、資源を使い、移動し、人と争い、領土を増やす。それまでそこに住んでいた人ではない者や自然が淘汰されていく。そして、それらから怒りを買い、憎しみを生み、人を襲う。この荒ぶる双方の思いがぶつかる。

アシタカは、人と自然の共存の道があるのでは、と、自らが呪われ、定めを覚悟しながら双方に問いかけ奔走する。
アシタカのこの勇気と思いが人と自然を少しずつ変えていく。
彼、かっこ良すぎる。「あら、やっぱり良い男じゃない?」そう、もう顔が見えなくても良い男感が滲みまくってる。

サン、石田ゆり子の声がもう堪らんわ。
人にもなれず山犬にもなれない不憫なキャラとして描かれるが、アシタカの思いを汲み、自然側から人に思いを代弁する者として気高く、そして、まさに自然のように無骨で強く優しい。

自然からの人類に対する警笛と言えばそれまでだが、人も人で生きていくために、また新たな文明を発展するためには自然と向き合い、折り合いをつけながら自然と共に歩まねばならない。

当たり前のようでとても難しいテーマを、どっちが良いとか悪いとかではないところで、どっちにも言い分があり、どっちも間違ってるわけではなく、むしろ、双方で意志の疎通が取れる存在がいることで可能にできることもあると描いている。

このシシガミの唯一無二感と絶対的な自然の中でも“どっちとも違う空気を纏っている”ところもまたこの作品の雰囲気というか、スゴイところ。

人は人、自然は自然。だが、人には自然はなくてはならない。そこんとこよく考えなはれや、どうするんや、人の好き勝手にすれば良い話ちゃうで、とわかりやすく、でも、重々しく訴えかける圧倒的な作品。
matchypotter

matchypotter