高橋早苗

もののけ姫の高橋早苗のレビュー・感想・評価

もののけ姫(1997年製作の映画)
3.3
皆、何かを背負っている

アシタカは もらった祟りの痣を
サンは 山犬の子という 不本意な生まれを
エボシは やりたいことはあるが 男を信用できず 武装をやめない


モロも乙事主も同じく
それぞれの事情と言い分がある
(ケモノらなんで^_^ 掴みにくいかもしれないけど
人も含めて皆 種の違う生きものだと 眺めてみると面白い)


だから
戦いになってるけど
戦う事自体が 既に虚しさ満載なのよね


アシタカは シシ神に傷を癒してもらったけど
祟り(痣)は消えなかったし

サンは 山犬として戦うけれど
森じゃ どこ行っても人間扱いされ
里では もののけ呼ばわり
つまりどこ行っても のけもの扱いで
森では 母となったモロなしじゃ生きてけない
↑もののけ姫というよか、のけもの姫だわ
(居場所のなさ、という意味では「千と千尋〜」のカオナシに近いね)


だから アシタカに
「黙れ小僧!」の一喝なのですよ
そばにいてやる?
お前に、サンの何が癒せるってんだい!ってモロの怒りなのよ


シシ神が 石火矢で撃たれたアシタカの傷を癒したのは
サンと同種のアシタカを ここで見殺しにしたら
彼女の行き場は 本当になくなると
知っていたからなのかもしれない


ま、ともかく
ニンゲンと
ケモノと
自然(神)の
収めようのない 三つ巴の戦い


「情けは人の為ならず」といいますが
…癒しも人の為ならず
だねぇ。


ラスト
風がすべてを吹き飛ばし
草木萌える野山を見て ジコ坊がぼやく
「いや~馬鹿には勝てん」


馬鹿も最期まで通せば 信念になる
アシタカは
癒しなど よそからもらうものではない
と、知っていたのではないかしらん


巻き込まれても 最後まで自分をとおしたから
手のひらまで広がった祟りは
ただの痣になったのね(´∀`*)
高橋早苗

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