コマミー

もののけ姫のコマミーのレビュー・感想・評価

もののけ姫(1997年製作の映画)
4.5
【森の意志と人の調和への想い】

  [気まぐれ映画レビューNo.27]


人は何かと「恐れる」。

そして恐れたものを「拒絶」する。

そして恐れたものを、人は[排除]しようとする。

人はなかなか"調和がとれない"。自分が「不信」だと感じたものを、拒絶してしまうからだ。"人を越えたもの"ならば、尚更。

映画界はこの時、この作品に拍手をもたらした。エネルギーを感じさせ、今でも高い評価を得ている。地上波でも何度も放映され、だいたいの方はこの作品に思い入れがあるはずだ。
屋久島を軸に、どのアニメーターが羨むほど"幻想的な世界観"を作り出した本作は、その美しい背景とは裏腹に、現実でも確かに起こりうる、ある"社会に対する課題"が織り込まれている。

それは、何かを「差別」する事だ。

ここに出てくる登場人物は、ある"祟り"を恐れ、同時に"森を恐れた"。祟りの根源は森にあるからだ。主人公の"アシタカ"は、祟り神との対決で、自らも"祟りを貰ってしまう"。村を巻き込むまいと、アシタカは祟りの根源を探すため、長い旅にでる。そんな中、森に潜む"山犬"と戦う集落を訪れる。その山犬に育てられた娘"サン"は、山犬と森を守っていた。
森と人は、"緊張関係"にある。そのため、人は森の生物を恐れ、虐殺を始めたのだ。

つまり、呪いは"人が起こした"ことを示している。

戦争も、温暖化も、いじめも、人間の愚かさが滲み出て起こることを示しているのだ。

それを森と人の"大いなる意志"と共に描いているのが、この「もののけ姫」なのである。
デジタルに移行する前の時代の作品とは思えない、"人の手によって作られた神秘"。
監督の人柄がもろに出ている作品でもあり、この作品の価値がより見えてくるものになっている。

だからこそ、皆さんに見て欲しい。

ジブリという、宮崎駿という、アニメーションという、意志を…。

そう、これは"意志が詰め込まれた"、伝説なのです。
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