「映画館でジブリ」3本目。
エンドロール、うまく説明できない涙が溢れて止まらない。こんな映画体験はそうそうない。
人が飢えずに生きることは絶対的な善であり、エボシはまさにその体現者だ。しかしそれを遍く実現するために容赦なく死んでいく自然と獣。綺麗事ではすまない権力、謀略、暴力。結果、飢えを凌ぐためだったはずが容赦なく死んでいく人間。何という矛盾だろう。しかし物語は、神自体が生と死を合わせ持つ存在であると喝破する。そんな中で、荒々しくも純粋に生きる道を探し続けるアシタカ、そしてアシタカの問いを受け止める美しいサン。彼らを優しく見守るのは森であり自然だ。ラストシーンでこだまが登場するのはそれでも人に寄り添う自然の象徴か。
物語、美しさ、音楽、造形、どれをとっても宮崎映画の頂点であり、アニメに留まらず映画史に残る傑作。