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セブンス・コンチネントのtyapiokaのレビュー・感想・評価

セブンス・コンチネント(1989年製作の映画)
4.3
物を破壊するために物を買うという、どこまでも物に支配されている感じが強い。破壊が全く解放的でなく作業であるため、不快。がむしゃらに破壊するならば受ける印象も違っただろう。アクション映画の破壊シーンとは全くの別物。心中までも薬物という物を使うため、死さえも物に支配されている印象を受けた。また、最後までテレビが点きっぱなしなのも同様の印象を受けた。子供が一番最初に死ぬため、子供さえも夫婦にとっては物で断捨離の対象だったのだろうか、と考えた。子供の死よりお金をトイレに流すシーンに批判が集まったのはこの映画ならではのエピソードな気がする。最後のパート以外は人物という物も含めた物の紹介に思えた。1日を切りとって並列にするという淡々とした構成、いくつもの解釈を与える答えを出さない作風は賛否がわかれるだろうが、映画としてこういう見せ方はひとつの発明だと思う。決して面白い映画ではなく、つまらないのだが、それでもやはり力がある。ハネケ監督は解説しないという手法を発見したからこそ巨匠になったのだろう。
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