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セブンス・コンチネントのkのレビュー・感想・評価

セブンス・コンチネント(1989年製作の映画)
3.5
ハネケの長編デビュー作。これを初監督作品でやるか、ハネケ。

ある家族の3年間のある3日間を描いた物語。この作品の一番の特徴は、その3日間に関連性がないことだろう。だからこそ、ラスト、なぜこの家族がその結末に至ったのか、説明がない。正直、ストーリーについてはわからない。どう考えてもわからない。ただ、ハネケ独特の長回しによって、明らかに日常が流れていたことはわかる。そして、面白いのは、序盤は登場人物の顔を映さず、今のハネケとは違って寄りの長回しが続いていくことと、シーンの合間に黒味が挟まれていることだ。黒味についての意図的な説明は無かったが、明らかに時間というものを区別しているのがわかる。つい、その使い方があったか、と思った。

テレビ画面の砂嵐を使って最期を演出した秀逸なラスト、何も起こらないが、どこか恐怖を孕んでいてとても恐ろしい影像だった。こういう恐怖の演出は、さすがハネケだと感心する。
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