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セブンス・コンチネントの1000のレビュー・感想・評価

セブンス・コンチネント(1989年製作の映画)
4.4
初ハネケにしては強烈すぎるボディーブローだった。
断片化された生活。ブレッソンやカウリスマキっぽい美学に、不条理のスパイスをふりかけた作品。めちゃめちゃダウナーかつ気分爽快という、わけのわからない気持ちで観終えた。

「物語り」映画の解体は、ごくミニマルで、愚直なほどストレートなのが好印象。やりたいことがはっきりしている前衛は心地よい。

車、家具、魚、料理、貨幣。細々とした日常のオブジェクトに対する、生理的な嘔吐感。並みの生を営むことの本質的不可能性に対し、徐々に歪んでいく少女。この真っ白な閉塞感は、アメリア・グレイの『AM/PM』を思わせる。
写真を破り捨てる場面が、一番グサっときた。表象は無力だ…。
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