葉野宗介

心のカルテの葉野宗介のレビュー・感想・評価

心のカルテ(2017年製作の映画)
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序盤はとても見やすく撮られていて丁寧な映画だったと思う。拒食症のことがこの映画だけではそれほどわからないが、全然良いと思う。そういうことではなく、大切なのは患者である彼らが自分で責任を持つこと、それができれば誰にも否定されるようなことではないということ、ってことなのかなと思った。
序盤のルークがとても良い、かつて傷ついた彼の持つ優しさを魅力的に描いている。そして中盤以降は彼にも隠された弱さが…的にありきたりな展開で本当に一気に光を失った。だから何だよとしか思わない。序盤のルークを見て「そっか、彼はもう治ったし元気いっぱいなんだ!」なんて思う方が浅はかなんだから、こんな酷く凡庸なやり方はしなくて良かった。
そして中盤以降…特に後半の展開には閉口した。この映画で拒食症の方を救おうとなんてしなくていいから。そんな簡単なもんじゃないよって伝えればいいのに、何か考え過ぎて意識が変なところに入り込んじゃったのか…
文化祭みたいなクオリティのメッセージには辟易しました。そりゃ二時間の映画で救う方法なんてあるわきゃないから、ラスト精神論みたいなことになるわな、という感じ。
全てが未消化のくせに突然天啓受けたように光り輝いて終わった。キャラクターも何もあったもんじゃない。本当酷かった。
それっぽくして映画の魅力も壊したら、一体誰がこれを観て喜ぶのか考えた方がいい。
映画を撮るからには何をすべきか。観客の心を動かすこと。拒食症の患者を前向きにするとか警鐘を鳴らすのはそれに付随したものであり、前に出てきてはこうやっておかしくなる。

妹はずっと良かった。
葉野宗介

葉野宗介