爆裂BOX

マザーズデイの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

マザーズデイ(2010年製作の映画)
4.3
新居で友人達とパーティーを開く新婚カップルダニエルとべスの家へ銀行強盗に失敗した3兄弟が転がり込み、全員監禁されることに。やがて3兄弟の母親も現れ…というストーリー。
トロマの「マザーズデー」のリメイクですが、内容はまるっきり違います。オリジナルは森の中にすむ基地外母子にキャンプに来た女の子達が酷い目にあわされる「悪魔のいけにえ」の亜流ホラーでしたが、今作は銀行強盗に失敗した兄弟が以前住んでいた家に戻ると既に競売で売られて新しい住人が住んでおり、おっかない母ちゃんと共に監禁・陵辱地獄を繰り広げるという内容になっています。「ファニーゲーム」や「スペイン一家監禁事件」のようなホームインベージョンスリラーですね。ちなみにTSUTAYA独占供給作品です。
何と言ってもママを演じるレベッカ・デモーネイの演技が秀逸ですね。最初は淑女の態度ですが、徐々にその悪魔的な本性を露わにしていく様が見ていてムカムカしてきます。言葉巧みに人質達を操り、手玉に取っていく様が見事でイライラさせられます。若々しくて美しいのもイイですね。本当この人綺麗だけどこういうキチ〇イ役ハマるなぁ…
また、人質となる面々もそれぞれ問題を抱えていて一致団結して反撃する事もなく、いい様に操られて仲間割れまでさせられます。黒人も武器構えて「戦おう!」という割に行動に移さないし、三半規管やられてヘロヘロ状態で銃撃とうとして案の定な事になっちゃうし、人質たちのバカさとドン臭さも中々のものでしたね。ヒロインも結局、友人や夫が酷い目にあって殺されたりしたのに最後までお金のこと黙ってますし。特に旦那のダニエル役のフランク・グリロは今中こんな強盗兄弟とか簡単になぎ倒せそうだけど、今作では銃突きつけられて抵抗できず、手ボコられて血塗れになって完全に犯人たちの言いなりになるヘタレぶり。しかも浮気までしてるクズです。登場人物の中では医師で瀕死の三男の治療させられるショーン・アシュモアが一番まともで勇敢だったかな。
一家のキャラやイカレップリもイイですね。冷静で残忍な長男、野蛮で暴走しがちな二男、一家とそりの合わない長女、撃たれて死にかけてるけど中々死なない三男等キャラ立ってます。オリジナルよりも兄弟2人増えてますね。腹撃たれた三男が血塗れで車の中で泣き叫ぶシーンは「レザボア・ドッグス」彷彿しました。長男のアイクと次男のアドリーの名前はオリジナルから引き継いでますね。
中盤のATMでの通りすがりの女性二人に対して「生きるか死ぬかのゲーム」をする所は「SAW」のダーレン・リン・バウズマン監督らしいシーンでしたね。ここで被害者になる女性役でA・J・クックが出てます。
童貞の三男の筆おろしさせようとして彼氏同士戦わせて負けた方の彼女連れていくという条件で戦わせる所は上記の「生きるか死ぬかゲーム」とかこの母親のやり方見て編み出したんだろうなと思わせますね。その後筆おろしさせようとしたら興奮した三男が心停止しかける所はちょっと笑った。
ショットガンで頭吹っ飛ばすシーンに回出てくるけど一回目はハッキリ映してませんでしたね。二回目はちょっとインパクトあったな。「SAW」シリーズのような激し目のゴア描写は無く控えめですが、熱湯両耳に注ぐ所や頭にアルコールかけて髪の毛燃やす所は生々しかったかな。
事故で死んだ息子の写真に火をつけて息子の遺品燃やす精神攻撃の嫌らしさは良かったですね。逃げた女性を仲間に追いかけさせる嫌らしさも良いですね。
最後の乱闘シーンはハラハラしました。テレビを顔面に落として殺すシーンはオリジナルへのオマージュかな?パイプ洗浄剤飲ましてたし。
ママと主人公の最後の大乱闘シーンも激しくてレベッカ・デモーネイ頑張ってましたね。
オリジナルではオチへの伏線だった「クイニー」は今作ではただの「ブギーマン」のような子供を驚かす言い伝えで終わりましたね。
オチは「そうなるよね」って感じでした。オリジナルの様なぶっ飛んだオチにしてほしかったな。結局瀕死状態だったあの人が普通に元気になってるのは笑ったけど(笑)
陰湿でどんよりした気分になる作品ですが、サスペンス・ホラーとしては秀逸な作品です。TSUTAYA独占供給の中では面白い部類だと思います。