たく

スペシャリスト 自覚なき殺戮者のたくのレビュー・感想・評価

3.8
最初から最後まで,アイヒマン裁判の実際の白黒映像が淡々と流れる。劇場でTV中継され,被告人は防弾ガラスの中,通訳や言語の切替えという点は特殊だが,裁判官の仕草や,傍聴人への注意などは,日本の裁判と変わらない様子。アイヒマンは終始,自分はミュラー等に命じられたとおりにやっただけで,権限はなかった,移送のスペシャリストに過ぎないと主張。細かい書類決裁の説明などは,日本の公務員と極めてよく似ている。上層部がユダヤ人絶滅を決めても,「ユダヤ人絶滅は愚作だった。ただ上が決めたので良心は痛まなかった」「ピラトが手を洗った心境だった」と言っているのが印象的。背景説明がないので,彼が本当に公務員にすぎなかったように見えた。
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