ヒロシー

血槍富士のヒロシーのレビュー・感想・評価

血槍富士(1955年製作の映画)
4.5
95分という短い時間に、ありとあらゆる物語が詰まっている。某元snoozerの人曰く、昔の映画はモブキャラの描き方が素晴らしいとのことだったが、全くそのとおりで、例えば野点を見物する市中の人々も生き生きと撮られている。内容は封建制度へのアンチテーゼであり、中盤までの人情喜劇が魅力的に撮られているからこそ、終盤の展開に納得するし驚愕する。あの決戦シーンは撮影が本当にすごくて、槍を刺して樽から流れた酒が地面に溢れ、泥まみれの中で殺傷が行われるという撮影が見事。そこから流れ着いた無常観半端ないラストシーンまで隙がない。内田吐夢監督、戦後一作目にして大傑作。
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