血槍富士の作品情報・感想・評価

「血槍富士」に投稿された感想・評価

内田吐夢の戦後初の作品。
江戸時代が舞台の義理人情に溢れたロードムービー。こういう形でタイトルを回収することになるとは思わなかった。
赤っ鼻の町人はとても良い人だなぁ。

このレビューはネタバレを含みます

泣いた!前半は人情物のロードムービー&群像劇って感じなのだが、主君をチンピラ侍に殺されてからの片岡千恵蔵の立ち回りは壮絶。全然美しくないが、ドブ水にまみれながら、クソどもを刺殺していくぜ?主人の死を目撃した時の千恵蔵の強烈な顔のアップのカット!

どうしても後半の仇討シーンばかり印象に残るんだけども、千恵蔵と、なついてくるクソガキとの交流はほっこりする。千恵蔵がガキの背中に何かをこっそり入れると、「冷たい冷たい」言いだして、全部服を脱いで、何事かと思うとお金が落ちるシーンなんてすげー素敵だった。

娘を亡くしたおっさんが、娘に似た女を間一髪で足引きさせるシーンで、どしゃぶりだった雨がイキナリ止むんだけども、これが素晴らしい。いきなり雨が降るシーンはよく見るけども、止むのはあんまり見なくてさ。

でラスト、二人の遺骨を首から下げた千恵蔵がとぼとぼと画面手前に歩いてくる移動撮影。画面奥には野次馬ども。名シーンですね。ラストカットのとーーくの糞ガキも泣ける。っていうか泣いた。ありがとううっちー。千恵蔵。
演出も素晴らしいし、最後の決闘も見事。ただ構成の問題なのか話が少々分かりづらい。
面白かった!
aka

akaの感想・評価

4.0
また観たい
これぞ正攻法時代劇。奇を衒わない直向きな活劇であり真性のロード・ムービー。ラストに於ける片岡千恵蔵の大太刀回りがとにかく凄い。友を殺された怨みが炸裂。

いかにも東映らしい土着的で男臭いムードがプンプン漂う出来栄え。名匠内田吐夢監督の代表作であり、極めて純度の高い群像劇。かの問題作『飢餓海峡』とは対極にある娯楽活劇でもあった。厚みのあるモノクロ映像も特筆もの。
人情ロードムービーかと思いきや、後半以降は封建社会批判映画になっておりました。もう最高でした。前半は加東大介のガハガハおじさんっぷりや子どもが懐いてくっついてくる様子など、酒癖の悪い主君の槍持ちをしている片岡千恵蔵と旅先で出会った人たちの人情話がメインです。後半、その主君が市井の人々と交流していくなかで、武士であることに嫌気がさしてきちゃいます。その部下である下郎の加東大介と禁じられた酒を煽おり、そこへやってきた武士に絡まれてついには殺されてしまいます。そこへ千恵蔵がやってきて大立ち回りで仇を討ちますが、千恵蔵はやりきれません。ラスト、懐いた子どもが槍持になりたいという言葉に対して「馬鹿野郎!槍持ちになんか、なるもんじゃねえ!」と叱責します。千恵蔵もまた武家社会に嫌気がさしてるんですね。内田吐夢の戦後復帰第一作がこれですから、封建社会批判とはすなわち先の戦争に対する批判のように思えます。戦争の只中にいてその片棒を担いでいたという反省と、戦争そのものへの反対との、両方の意味での「反」戦映画にも思えました。メッセージがピリリと効いたとてもよい映画でした。ラストのチャンバラは見応えありです。なんでもない地面に、立ち回りの際に、置いてある樽に槍を刺させて酒を流してドロドロにします。泥だらけで逃げまどう姿は『宮本武蔵』シリーズであり、『どたんば』でしたね。ちなみに本作に出てくる子どもは『暴れん坊街道』の子どもでした。思えば『暴』では武家社会から出て行かざるを得なかった孤児の役でしたね。武家の象徴である母のお守りを捨てて自由な孤児となる姿を肯定的に描いていました。とすれば、『暴』は『血槍』の続編として、『血槍』は『暴』の前日譚として観ることができるんじゃないでしょうか。
企画協力に小津安二郎、清水宏が参加している本作。
飢餓海峡の10年前にこの傑作時代劇をとりなすっていたようです。

戦後復員してからの初の作品だったというのも、本作の持つメッセージやテーマが妙にしっくりくる。
自分の中で交絡が生じているやもしれぬが。

というのも、本作の残り20分まではよくできた人情劇もしくは、市井の人々と旅人の群像劇、といった進み方なのだけど、急に反体制に対する怒りや、身分格差の不条理に対する怒りが殺陣にて展開、表現される。

本作の最も評価するところは、群像劇として、様々な登場人物や伏線がスクランブルして見事に一本の道に集結させる妙。


足の豆は治ったのだろうか。
彼が走るたびに気になったよ
一

一の感想・評価

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ゆったりした庶民派ロードムービーで溌剌とした捕物もありグッとくる人情話でもあり「いいな~」と楽しく観ていると、クライマックスでとってつけたような血みどろ展開。ちょっとした言い争いから主人と仲間をチンピラ武士に殺された片岡千恵蔵が長い槍を思い切り振り回す派手な殺陣は見所十分。しかし、敵は討った!バンザイ!で終わらない。「当藩には下郎に殺される武士などいない」とすごい理由で無罪放免になるのは台詞でも語られた身分制度に対する嫌悪感の極めつけだし、仲間の遺骨を抱え去っていく千恵蔵の姿には自分が暴力を為したことへのためらいが表れていてやりきれない。上映後のトークで、内田吐夢は日中戦争以後愛国主義に傾倒していた時期があったという話を聞き、これは監督自身の反省なのだとわかる。同年の『たそがれ酒場』に、過去に戦意高揚広告を描いていたことから戦後断筆した画家が登場するのもはっきり腑に落ちる。
SKE

SKEの感想・評価

3.8
ロードムービーかと思いきや、そういうオチ? 余程殺陣をやりたかったのでしょう。
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