BOB

プレイタイムのBOBのレビュー・感想・評価

プレイタイム(1967年製作の映画)
3.3
ジャック・タチ監督の『ユロ氏』シリーズ第3弾。

お馴染みムッシュ・ユロが、就職面接のため訪れた近未来都市パリで迷い込む。

🇫🇷🎩🦯

パリとガラスとジャック・タチワールド。

今の自分には、本作を通して監督が何を伝えたかったのか理解できなかったし、何度も退屈だと思った。でも、何だろう、良い映画を観たような余韻も残っている。

色んな人間がいるから、人間世界は面白い。人生の"プレイタイム"を思う存分楽しもう。みたいな、話だったのだろうか。社会風刺、社会批判のようなものは全然感じなかった。
 
『ぼくの伯父さんの休暇』の上を行く人間観察映画。主人公やプロットはないに等しいし、台詞こそあるものの、その内容には意味がなく、環境音と同等の役割しか果たしていなかった。実質的にはサイレントコメディ映画。

映画が進むにつれて、無機質で静寂なモノクロ世界から、耳障りな程に賑やかで人間味溢れるカラフルな世界に変化していくのが印象的だった。終盤のシークエンスは、パリの街が遊園地のように演出されているように感じた。パレード音楽が流れていたし、パリ名物のラウンドアバウトは自動車版メリーゴーランドに見えた。"万物の流転"、"パリ愛"みたいな意味も込められていたのかもしれない。

ジャック・タチ監督が大金を投じて徹底的に創り込んだという巨大セット"タチヴィル"と、70mmで撮影された洗練された映像が美しかった。ショーウインドウのような壁一面ガラス張りのアパートは革新的で、プライバシーなんてクソ喰らえと言わんばかりの開放感があった。

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