イチロヲ

プレイタイムのイチロヲのレビュー・感想・評価

プレイタイム(1967年製作の映画)
4.0
不慣れな大都会のシステムに翻弄される中年男が、パリ市民の人間観察に勤しんでいるアメリカ人観光客の女性と知り合う。文明社会をシニカルに描いている、風刺コメディ。

「ぼくの伯父さん」があまりピンと来なかったので、ジャック・タチに苦手意識があったのだが、名画座における「ウイークエンド」(ゴダール監督)との同時上映に駆け込んだのが勿怪の幸い。それ以来、すっかり本作の虜に。

忙しない日常を送っているロボットのような人間たちを描写しながら、あらゆる場所で発生するヒューマン・エラーをギャグに転換させていく。パリ市民を人間観察するアメリカ人観光客は、野生動物を観察するジャングル・ツアーのように演出されている。

後半部に入ると、社会の縮図となったナイトクラブが、主なる舞台となる。「モンティ・パイソン」「ヤコペッティ作品」を彷彿とさせるカオス世界が広がっており、風刺の何たるかを教示してくれる。
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