砂場

北国の帝王の砂場のレビュー・感想・評価

北国の帝王(1973年製作の映画)
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リュミエール兄弟が蒸気機関車を撮影したのが映画のはじまりなのであり、本作は映画の始原的な欲望をそのまんま剥き出しにしてるのだ。


1933年大恐慌時代、失業者は無賃乗車で移動する。彼らはホーボーと呼ばれた。車掌のシャック(アーネスト・ボーグナイン)はホーボーに異様なまでに敵意を持っている。無賃乗車の男をぶん殴ると、汽車からおっこち男は轢死。
ある男(リー・マービン)が食料の鶏を持っている。それを奪おうとした悪ガキたち、男は汽車に無賃乗車する。続いて悪ガキ(キース・キャラダイン)も入り込む。車掌に閉じ込められるも火事をあえて起こし脱出。
男はナンバーワン、伝説のホーボーで北国の帝王と呼ばれていた。
悪ガキはシガレット。車掌はシャック。

シャックが運行する列車にナンバーワンが乗れるかどうかみんな賭けをしている。シャックはスピードを緩めない、石炭をくべるように部下に指示。ポイントを切り替えられ、列車は軌道を外れる。バックして元の軌道に戻そうとするシャック。郵便列車と衝突しそうになるもギリギリ待避線に逃れる。ナンバーワンとシガレットはシャックの列車の貨物車両の下に潜り込むがシャックによりふるい落とされる。廃棄ゴミを漁る二人。
怪しげな牧師の一団。ナンバーワンは罪を償うかのように参加している。ハレルヤ!神を信じるのだ、、告解せよ。給水塔にナンバーワンからの挑戦状が。19号の貨物車の下に潜り込む二人、シャックの攻撃に対し
急ブレーキをかけるナンバーワン。
<以下ネタバレ>
乗組員は衝撃で一人死亡、もう一人も大火傷、シャックもナンバーワンも負傷し、いい気になるシガレット、俺が北国の帝王だ。貨物列車の上でのナンバーワンとシャックの死闘。シャックは列車から叩き落とされる。
いい気になったシガレットもまたナンバーワンにより列車から川に落とされるのであった。


リュミエール兄弟の蒸気機関車の映像はその迫力で観客を驚かせたようだが、本作「北国の帝王」も単純に機関車上のバトル映像のみを見る人の感性にぶっ込んでくる。ストーリーは殆どない。もはやナンバーワンが汽車に無賃乗車してどこに向かい何をしようとしているのかも明確に描かれない。車掌のシャックもただただホーボーを撃退することだけに体を張っている。
「マッドマックス怒りのデスロード」なんかも多大な影響を受けているだろうなと思わせる汽車の上でのバトル。
冒頭ナンバーワンの食料の鶏をシガレットが盗もうとする場面では、鶏で相手をぶっ叩くリー・マービンの勇姿が見られ、その時点で爆笑と共になんじゃこりゃ感が溢れてくる。異形の傑作
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