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北国の帝王の3104のレビュー・感想・評価

北国の帝王(1973年製作の映画)
3.7
大不況下のアメリカ、1930年代。
無賃乗車で各地を放浪する「ホーボー」(言ってみれば浮浪者)達と、それを阻止せんとする「鬼車掌」の対決が描かれる。

「対決」とは大袈裟な響きだが実際「対決」なのだから仕方がない。何しろアーネスト・ボーグナイン演じる鬼車掌シャックは無賃乗車のホーボーを血眼で探し、見つけるやいなやハンマーを打ち下ろし時には彼らを死に至らしめることも(どうしてそこまで躍起になるのか?とツッコミたくなる程。度を過ぎて滑稽でさえある。ホーボーを探したり機関士らをどなりつける時の目力といったら)。
そんな鬼車掌を欺いて何度も無賃乗車を繰り返す、シャックも一目置いている存在が「北国の帝王」ことA・ナンバーワン。リー・マーヴィン演じる彼の意志の強靭さを湛えながらもクールな佇まいはシャックの熱さと対をなし、かつ両者は似通った部分を持っているともいえる。

映画はこの2人の「乗る/乗せない」を巡る対決が延々と描かれる。途中他の鉄道員による「無賃乗車が成功するか否か」を賭ける場面や他のホーボー達の様子、そして「北国の帝王」の座を狙わんとする若造ホーボーなどが出てくるが、基本的にはシャックvs北国の帝王で約2時間を持たせる。
確かに間延びする箇所もあるが、全編を支配する熱さにのせられて気がつけば2時間経っている感じ。クライマックスの「最後の対決」はわかりやすく熱い(そしてその後にナンバーワンが吐く科白がいい)。

女性のキャストが皆無でいわゆる“華”がないが、それがかえって作品の泥臭さを際立たせている。70年代のアメリカ映画らしいザラついた画質に登場人物達の服の汚れがなんともマッチして映る。