福福吉吉

ゴッド・ギャンブラーの福福吉吉のレビュー・感想・評価

ゴッド・ギャンブラー(1989年製作の映画)
4.0
◆あらすじ◆
コウ・ジョンはあらゆる賭け事に勝利する「ゴッド・ギャンブラー」として名を馳せていた。しかし、ある夜、チンピラのトウとその弟のウーヴァイが細工した柵により崖から落下し、コウは記憶を失い、10歳児の知能になってしまう。コウの正体を知らないトウやその恋人のザンたちはコウの博打の才能を発見してコウを利用して大儲けを企むのだが...。

◆感想◆
事故で記憶を失い、幼い少年のようになった天才ギャンブラーと彼を発見した借金まみれのチンピラたちの珍道中を描いた作品となっていて、主人公の天才ギャンブラーを演じるチョウ・ユンファのシリアスな演技から幼稚な子供の演技までその幅の広さが楽しめるとともに、脇を固めるキャラクターたちが幼い主人公に代わり激しいアクションを繰り広げていて、様々な要素がてんこ盛りとなっていました。

コウ・ジョンの天才ギャンブラーぶりをストーリー前半に描き、そこで彼を中心にしたシリアスな展開が続きます。しかし、しがないチンピラのトウ(アンディ・ラウ)が仕掛けた罠に意図せずしてハマって崖に落下し、頭を強打したことで記憶を失い、幼い少年のようになってしまいます。トウはギャンブルが下手で借金まみれだったのですが、偶然、コウがイタズラしてトウのギャンブルに手を挟んで勝ってしまったことで、トウはコウの博打の才能を知り、彼を利用して大儲けしようとします。トウたちがコウと共に過ごすストーリーが本作の大半を占めていて、トウの自分勝手さ、自分の好きなチョコレートが無いということを聞かないコウのわがままさがうまい具合にストーリーを面白くしていて、ドタバタ劇を楽しめました。

ストーリー終盤、コウが記憶を取り戻し、序盤のシリアス展開に戻って、少し残念な感じもありましたが、そこでのコウの勝負は痺れるものがあり、上手く作品を終わらせていたと思います。トウは「ゴッド・ギャンブラー」に憧れていて、コウの正体を知った途端、「師匠」と呼び始めたくだりは面白かったです。

ストーリーの大半でコウが幼児になっているので、本作ではトウやコウのボディガードのロン・ンーが代わりに主体となってアクションシーンを演じます。トウのビルの足場での危険なアクションはヒヤヒヤさせるものがありましたし、ロンがコウを守るために多くの刺客と銃撃戦を行うシーンは激しくて見ごたえがありました。

チョウ・ユンファの演技の幅に敬服してしまう面白い作品でした。この作品がきっかけで本作と繋がりが無いにも関わらず、多くの作品に「ゴッド・ギャンブラー」の邦題がつけられたのですから、この作品のインパクトが大きかったのだと思います。

鑑賞日:2025年9月3日
鑑賞方法:Amazon Prime Video
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