怨念大納言

ラビット・ホラー3Dの怨念大納言のネタバレレビュー・内容・結末

ラビット・ホラー3D(2011年製作の映画)
2.6

このレビューはネタバレを含みます

序盤、「姉・弟」「悪夢」「絵本作家」という点で恐ろしい既視感が…。
これは、神の左手悪魔の右手と要素がピタリ!
パロディとかパクりとかではなく、まぁベタベタなホラーの定番要素なんでしょう。

清水崇監督、満島ひかり、香川照之あたりのビックネームによる期待感からの落差で酷評されがちな本作ですが、流石に神の左手悪魔の右手とグラベルと失礼な程度にはちゃんとしていました。

人魚姫をベースにしつつ話はきちんとまとまるし、ちょっと気の効いた裏切りもあり。

けれど、呪怨や輪廻と比べるのもそれはそれで…。
少しも怖くないんだもの。

「ウサギの出てくるホラーは駄作」というジンクスと、「満島ひかりの出ている映画は大体好き」という私の趣味のぶつかり合いの結果、「まぁそこそこの映画」という感想に。
引き分け!

それから、この映画はミステリーで言う所の「信頼出来ない語り手」の映画となっている。
映画として最も有名なのはユージュアル・サスペクツだろう。
例のあのトリックである。

ユージュアル・サスペクツの秀逸な所は、あの「信用出来ない語り手」の正体の判明が抜群にスタイリッシュだった点と、正体の判明によって全ての謎が解ける点。

この映画、満島ひかりは死ぬまで「信用出来ない語り手」であったし、最終的には香川照之も「信頼出来ない語り手」なんですよね。
幻覚を見ている訳ですから。

私はてっきり「満島ひかりこそ弟の見ていた幻で、人格を持った幻覚を殺害する事で弟の精神が回復した」という恐ろしい曲解をしておりました。
けど、極論そんな妄言も成立してしまう訳ですよ。
物語に「死人(母&弟)」「幻覚(母&弟)」「信用出来ない語り手(満島&香川)」しか出てこないんですから。

【妄想が伝播する】という斬新さを取るか、スリラーとして最低限の【フェア精神】を取るか…。

ホラーに置いて◯◯が実は妄想だったってネタは最早珍しくないし、信用できない語り手も同様、アクロイド殺しの時代とは違う。
インパクトとして必要だったのかな。私の他にラストで変な妄想してる人いなかったし…。
怨念大納言

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