ちろる

今日、キミに会えたらのちろるのレビュー・感想・評価

今日、キミに会えたら(2011年製作の映画)
3.7
生きる楽しさを教えてくれて、何でもないことを笑いに変えてくれるあの人。
どうしようもなく吸い寄せられて、一緒にいる時間は2人の間にある互いの皮膚でさえも煩わしいほど溶け合いたいと願っていた。
一番喜びや悲しみを共にしたい時にあなたは近くにいない。
すぐに話したいと思った時に電話も通じない。
ちょっとした若気の過ちがその後の2人の恋路を邪魔して、いま、私は電車の中で幸せそうなカップルを羨ましく眺めているだけ。

なかなかもどかしさの続くある意味究極の遠距離恋愛ドラマ。

遠距離なんて経験したことないのに、過去がフラッシュバックするような生々しさを感じるのは主役のフェリシティとアントン2人の表情の演技のうまさのせいか演出のおかげか・・
ともかく、私は2人のような経験もないくせにこれを観て「分かるー」という感覚を味わってしまった。、
無駄な説明を省いた時間の経過の表現とか、主人公2人の心情を鑑賞者に感じさせてくるようなアップのカメラワークとかが秀逸。
恋愛映画で描かれるラブラブな瞬間の切り取りを観ると、
「2人はサイコーじゃない、運命じゃない、早く結婚しちゃえよ!」
だなんて観ているこちらも気持ちが盛り上がっちゃうけど、そんなのは恋人同士の時間の一瞬に過ぎなくて、それ以外ほほとんどがこの2人が見せる複雑な表情を見せることになる。
「障害がある恋ほど盛り上がる」
という通説も嘘ではないが、燃え上がる炎もいつまでも熱くいれるわけじゃないから、、、、悲しきかな結婚も恋愛も運命よりもタイミングなのだろうか?
最後の2人の表情はまさしく「卒業」でダスティ・ホフマンとキャサリン・ロスが見せたあの表情と同じものではなかろうかと思うと、これからの2人を見たいような見たくないような複雑な気持ちにさせられます。
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