オトマイム

狼の時刻のオトマイムのレビュー・感想・評価

狼の時刻(1966年製作の映画)
4.0
草木も眠る丑三つ時をあちらでは狼の時刻というのですね。精神を病んでいき不眠症に陥る画家の男、その妄想と悪夢をいつしか共有し現実との境界が曖昧になっていく妻。じわじわ怖い。怖くておもしろい。ベルイマンの異色作と言えるのかも。

脳裏に焼きつく印象的な画がこれでもかというほどいっぱいあるのだけれど、とくに人の顔が怖かった。『魔笛』の人形劇をみる客人が順にクローズアップされるところ。ライトに照らされ異様な形相になる男。愛人の高笑いの顔。そしてあちらの世界に入ってしまったマックス・フォン・シドー。どれもこれも心底ぞっとする。これはリンチがかなりインスパイアされてますよね。なんとも奇妙な作品だけどベルイマンの頭の中はこんな感じだったのかもしれないと思ったりする、だとしたらイレイザー・ヘッドといい勝負!