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忍たま乱太郎ののらのレビュー・感想・評価

忍たま乱太郎(2011年製作の映画)
3.0
忍たま乱太郎の主題歌である "勇気 100%" の中 に「僕達の持てる輝き 永遠に忘れないでね」という歌詞がある。実写版 忍たま乱太郎はまさにそんな映画で、これは加藤清史郎のアイドル映画と言っても良いだろう。

特にラストカットの一年は組が忍術学園に戻る部分は、完全に下校途中の小学生で、演技ではなく完全に素ではしゃいでいるし、スタッフロール中で流れるメイキング映像も、撮影の合間にはいしゃいでいる小学生達というのを意図的に入れていて、映画のフォーマット的には神木隆之介が主演の妖怪大戦争にも通じる物がある。

また乱太郎の実写化という部分に関しては、ビジュアル面では悪くなく、生徒に振り回され続ける三浦貴大演じる土井先生は完全にはまっている。ただし肝心の乱太郎のキャラ付けがおかしくて、主人公の乱太郎というのは、個性派ぞろいの1年は組において唯一の凡人なんだけど、実写版での乱太郎は凡人感が弱くなっている上に、"らんきりしん"という漫才トリオにおけるツッコミ役のはずの乱太郎が、どちらかというとボケよりなっている。ここが原作と根本的に違う部分で、乱太郎というキャラクターを加藤清史郎に寄せている印象をうける。

もうひとつの問題としては、登場人物を出しすぎたせいで、全体的にガチャガチャしてしまっている。稗田八方斎を出したいのであれば45巻をベースにするのではなく、もっと初期のエピソードを持ってくるべきだったし、は組のメンバーをもっと掘り下げるのであれば相部屋のエピソードはカットしたらダメだった。それと戸部先生が歩く時に「ゆらりゆらり」と言わないのはどうかと思うし、戸部先生がお腹がすいて力がでないという設定も無くなっているのも疑問が残る。

全体的にギャグが滑っているというか、ギャグの手数が多すぎてギャグとギャグが殺し合っているので笑いたいのに笑えないという事が多い気がする。ただ三池崇史の悪ふざけというのか、温泉に入っている平幹二朗の前に松方弘樹演じる稗田八方斎がしおらしくバスタオルを巻いて登場したかと思ったら、平幹二朗が温泉から上がって、そそり立つ股間を松方弘樹にみせつけて絶句させるというシーンは非常に良い。あと鹿賀丈史の文字道理の怪演も見事だ。あと良かったのはラストでの虎若のエピソード位だろう。

実写映画としてはバランスが悪い映画だが、加藤清史郎のアイドル映画としては非常に良い映画と言える。
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