むっしゅたいやき

山の焚火のむっしゅたいやきのレビュー・感想・評価

山の焚火(1985年製作の映画)
3.3
フレディ・M・ムーラー監督作品。
仕事をサボって鑑賞(ウソです、早退しました…。どうしても観たかったのです…。みんな、済まぬ、済まぬ…。)しましたが、初見ではその真意が非常に見い出し辛い作品です。

本作は姉への憧憬を抱いた聾唖の少年とその家族の、隔絶された高山での生活を通し、山の雄大さと人の営みの矮小さ、生活環境の厳しさと社会規範の危うさ(と言うより浮薄さ)、更には人たる者の根源的な要素、即ち血と肉、生と性、そして死と誕生―を力強く描いたものです。

これ等を現す舞台装置としてシスターコンプレックスを客体としたストーリーが在るものの、物語を追う見方で鑑賞すると、恐らく"意味不明"と言う評価となります(実際私も帰宅中は虚ろな眼差しでした…)。

所謂ロケーション有りきの作品では有りますが、俯瞰や仰角からの高低差を活かし技巧を凝らしたショットに加え、薄明の山々、ブロッケン、雪夜に浮かぶ温かな灯りと父母の窓等、画そのものも非常に詩情豊かに撮られています。

幾度か繰り返して観ることで、更に様々に思いもしなかった面が見えて来そうな、重層的な作品でした。
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