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山の焚火の2MOのレビュー・感想・評価

山の焚火(1985年製作の映画)
3.6
集団を作って人は山を下りた。
宗教的な結び付きによって社会は形成され、社会には神的なるルールが課される。複雑なコミュニケーションに言語は発達し、人は万物を解釈することにより人間たらしめるようになる。

人里離れたアルプスの中腹に、聾唖の“坊や”とその家族が暮らしている。
ほとんど社会と隔絶した生活の原始的な営みの中で、今にも暴れ出しかねない衝動のピュア。壮麗な山々の静的なロングショットの狭間、危うさを孕んだ非言語的なコミュニケーションのピュアにクローズアップされる視線。
つまり悲劇を映し取る。悲劇は美しいというこの世界の風景と併せて。

人間は社会の中で自己を見出す生き物だ。湧き上がるエネルギーを社会で交流させて、平静は保たれる。そうして理性的な大人として社会に与する。
適者生存の限りにおいてはそうなのだ。