えびちゃん

山の焚火のえびちゃんのレビュー・感想・評価

山の焚火(1985年製作の映画)
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凄いものを観てしまった。自然の美しさと気高さ、山に暮らす人々の質素な営み、飾りようのない素の人間の湿度、映るもの全ての質感があまりにも生々しくてスクリーンから目を離すことが出来なかった。観終わってもずっと心拍数が戻らなかった。わたしが観たものは一体なんだったの?洪水のように押し流れる感情についていけない。
家族だけで山に暮らす思春期の姉と弟。抑えきれない性衝動のやり場が互いに向くことは避けられない。
春から夏へ、晩秋から冬へ。山肌の景色が変わり季節がめぐっていくように、幼い姉と弟が雷への恐怖を抱き合って分かち合った時とは明らかに違うお互いを見るまなざしもまた変わっていく。
鏡を挟んで抱き合うシーン、とんでもなくぞっとした。美と禁忌が共存するおぞましい世界に迷い込んでしまったな。
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