このレビューはネタバレを含みます
中年男性パウルが女性歯科医師と不倫をして、それを妻のアドリアナに告白した後、クリスマスの日に娘に告白しようとするところで終わる、至ってシンプルなストーリー。日本では劇場未公開のDVDスルーのルーマニア映画。
定点カメラの長回し、フレームアウトなシーンが多くて、この監督はミヒャエル・ハネケ監督に影響を受けているのかなと思いました。冒頭の不倫相手とのベッドでのシーンもたっぷりと長回しで、生々しいリアリティ。中年男性が妻に不倫を告白する長回しのシーンは、かなり圧倒されました。台詞の量も多くて不自然さが一切ないから、思わず入り込んでしまう感じ。娘の歯科矯正を不倫相手のクリニックでさせたくないという、アドリアナの気持ちに同感。歯科矯正って、かなり長い関わりになってしまいますからね。そんな気持ちをわからないパウルは本当に愚鈍。
ストーリーがかなりシンプルで、なんら変わった展開があるわけでもないので、退屈と感じる人もいるかと思いますが、ヨーロッパ映画特有の時間進行と空気感で、僕は結構好きでした。
このヴィジュアルと「不倫期限」というひどい邦題のせいで、エロ映画っぽく思えるかもしれませんが、中身は真面目な人間ドラマです。
あのボカシの入れ方は興醒めです。