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ベンジャミン・バトン 数奇な人生のArkのレビュー・感想・評価

4.9
生まれた時から老人で、歳をとるほどに若返っていく奇妙な病気を持つ主人公ベンジャミン・バトン。生まれた時に母親は亡くなり、赤ん坊の姿を見た父親は彼を捨ててしまう。拾われたベンジャミンは大事に育てられ、愛する人を見つけるが、彼女は老けていくのに対し自分は若返っていく。そしていつかは子どもになる。同じ時間を生きていても、時間の流れ方が違うため交わることが出来ず、ベンジャミンは彼女から離れる決意をする。





ネタバレ↓


娘が生まれた時に、愛しているからこそデイジーと娘の前から姿を消すというのは、なかなかにキツかった。離れた後も片時も忘れることなく想い続けていたのかなと思うと胸が痛む。毎年誕生日に娘に向けて書いたメッセージも送ることはなく、自分の日記に挟むだけ。1度デイジーのもとを訪ねて娘に会ったときのベンジャミンの表情が本作の中で1番強く印象に残っている。ベンジャミンに抱っこされたことも一緒に遊んだことも、当時娘はまだまだ小さかったから何も覚えてないし……。

子どもの姿になり、認知症で全てを忘れてしまったベンジャミンを心配して毎日訪ね、ついに赤ん坊の姿になったベンジャミンを腕の中で看取ったシーンに特に愛を感じた。

正直お涙頂戴感や、ヒットさせる気満々の賞を狙った作品だなというのは感じるけど、脚本といい製作費といいこれ以上ないほどに完璧に作られているので、間違いなく本作は名作でしょう。

本作は老人ベンジャミンと若者ベンジャミンを描くために精巧なCGを使っている。50分間のCGを約155名のスタッフが2年がかりで製作したそうな。ブラッド・ピットの顔の型を取って、そこから粘土で型を取って……と果てしない手間と時間をこれでもかと費やし、あのリアルなCGが実現した。老人ベンジャミンのシーンは顔だけCGで、体はボディアクターの方が演じたらしい。
表情は事前に撮ったピットの表情演技パターンから作られているため、CGでもピットの演技のクセがちゃんと表れていたので表情に違和感がない。勿論よく見ればCGなのは分かるがリアル。かなりのお金をかけられているのは一目瞭然。ピットも製作に積極的だったようで何度も話し合いが行われたらしいので、ブラッド・ピットとデイヴィッド・フィンチャーとくれば、製作費には困らないのかもしれない笑

CGも特殊メイクもなしの素のブラッド・ピットが超イケメンでした笑 どうしてもあのイケイケな歩き方を見ると、髪型も相まってファイトクラブのタイラーを思い出してしまう……😂あれも良かった……。
期待していた以上に良作で、ヒューマンドラマ系にめっぽう弱い私はまんまと感動しました。
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