FumiyaIwashina

ベンジャミン・バトン 数奇な人生のFumiyaIwashinaのレビュー・感想・評価

4.3
フィンチャー監督作としては珍しく、温かみのあるファンタジー作品。
生まれてからどんどん若返っていくベンジャミンと普通に歳をとっていくデイジーの人生を軸にして、様々な人との交流がえがかれている。
ベンジャミンを育ててくれたクイニーや、人生の楽しさを教えてくれた船長、財産を残してくれた父親などなど、皆それぞれの優しさで接してくれるのが良かった。老人ホームでの他愛ない言葉がブラックユーモアになっているのも面白い。
物静かで心優しく、儚げなブラッド・ピットは「ファイト・クラブ」とは違った魅力に溢れている。彼が若返っていく様子はもちろんかっこいいが、ケイト・ブランシェットが大人の魅力を増していく様子も美しい。愛しているからこそ、見たくない所を見て傷ついたり、離れていったりと上手くいかない二人。しかし、二人の年齢が近づき束の間の幸せが訪れた時は儚くも美しかった。
小説が元ということで、話が脱線することもしばしばあり、かなり長くなっているが、それらの枝葉末節やきれいすぎないところも含めて、人生が詰まっている。フィッツジェラルドの素敵な名言たちをフィンチャーの素晴らしい映像で表現した最高の作品。
"We all going the same way. Just taking different roads to get there, that's all"
"Life wasn't all that complicated. If you want, you might say I was looking for something."
"Life being what it is, a series of interesecting lives and incidents out of anyone's control."
"I think right there and then she realized none of us is perfect forever."