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雲のむこう、約束の場所のmitakosamaのレビュー・感想・評価

雲のむこう、約束の場所(2004年製作の映画)
3.2
新海誠2作目。前回の30分から3倍の一時間半となり、作画レベルも大幅に上がった。
そして新海節も健在。男女がお互いにウジウジし合う関係がしつこく続く。
思春期の繊細さを描くという監督の作家性はわかるが、何年経ってもこの作風が続けられるのはある意味凄いよなぁ。
一定の年齢になったらこういうの照れるじゃん。新海の中に照れって概念は無いのかね?

ほしのこえと同じく、舞台背景は極めて現代的な近未来描写。
地球と宇宙とでケータイで遣り取りする男女のほしのこえ。そして今作は日本が南北分裂し、北海道が蝦夷とよばれる世界観。

この手のSF設定も、とっても若気の至り感ある。これを照れずに作れる神経の図太さが大したものよ。

南北に別れる日本って設定が、当時まだブームだった韓国映画の影響は感じたな。そして基地内のインターフェイスのデザインなどはエヴァ以降のはやりだということもわかる。

ただ、SF設定の説明、物語の流れ、心理描写などが各々説明的で、しかも観念的だからとっても判りづらい。
設定が難しい訳じゃない。ぶっちゃけ設定の説明がヘタだとは思う。

いわゆる“セカイ系”なるものが隆盛を誇った時代。まさにセカイ系の系譜上の作品だと思う。故に作品自体がとっても内向的。

君の名はから作風が外交的になった。だからヒットしたとも言える。
君の名はのヒット以降に、新海がこの手の近未来ものをどう作るのかは、とっても興味がある。
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