くまちゃん

リオの男のくまちゃんのレビュー・感想・評価

リオの男(1964年製作の映画)
3.4
「大盗賊」で誕生した奇跡的名コンビ、
フィリップ・ド・ブロカ×ジャン・ポール・ベルモンドによる冒険活劇。

内容はブロカ監督らしく機知に富みコミカル。それでいて奇想天外なのは「タンタンの冒険」を元にしたためだろう。
ブロカは写真家の家庭で育ち、写真・映画学校を卒業、ドキュメントを経てヌーヴェルヴァーグを代表する巨匠の元で助監督を努めてきた。
その経験があるためか、画作り、特に風景や情景への強いこだわりがあるように見える。
飛行機やヘリコプター、スカイダイビング時の空撮は壮観であり、絵画のような美しさがある。
ロングショットなども多く、俯瞰して事象や行動がわかり易い。

ルパン三世のモデルとして有名なベルモンドであるが、今作のアクションはジャッキー・チェンに近いと言える。
「プロジェクトA」であり「アジアの鷹」であり「WHO・AM・I」である。
窓を飛び越えたり走行する車から飛び降りたり、簡単にこなし過ぎてすごく見えないのが逆にすごい。
サイレント時代の喜劇スターの系譜はジャッキー・チェンやトム・クルーズへと受け継がれているが、その中間点にジャン・ポール・ベルモンドが居たことを我々は忘れてはならない。

ヒロイン、アニェスを演じたフランソワーズ・ドルレアックは今作にて奔放な女性を演じ、まさに小悪魔とでも形容できる愛らしさがある。妹カトリーヌ・ドヌーヴともまた異なった無二の魅力が彼女にはあったのだ。
今作公開の三年後。彼女は交通事故にて帰らぬ人となった。
ここに魅力的なパリジェンヌがいた事。
これもまた、映画ファンとして忘れてはならない。
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