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ピノキオのslowのレビュー・感想・評価

ピノキオ(1940年製作の映画)
4.8
口角ぐいぐい。ほっぺたぷっくり。疲れを知らない驚異の表情筋とお尻を吊り上げ歩くスタイル。ああ、懐かしい。これぞディズニーアニメ。幼少期に観た時はもっと長かったような気がしていたけれど、今観てみると後半など意外とあっさり(もしかしたら、ピーターパン?あたりと混同していたのかも)。でも、子供ながらに衝撃的であった展開は大人になっても十分衝撃的で、この作画の質と量にも、今改めて(今だからこそ)感動してしまう。愛心、冒険心、恐怖心。道徳的にも口で教わるより伝わるものがきっとあり、思い入れを抜きにしても、これは本当に素晴らしい作品。
アニメーション技術は進歩し続けていると思っていたけれど、この頃がピークかと思わせる程秀でて感じられる。それはアニメーションを構成する技術自体が別物になりつつあるということもあるのでしょうし、もうこのような味わいのあるアニメは過去の物となってしまうのかもしれないという寂しさでもあるのかな。美しいお姫様も、ときめく王子様もここには出てこないし、本作の映像を今の子供が観て感動できるのかもわからないけれど、この確かな熱量は頭で理解すると言うより、体感して心の財産として欲しい。傑作。
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