雷電五郎

ケース39の雷電五郎のレビュー・感想・評価

ケース39(2009年製作の映画)
3.3
ケースワーカーのエミリーが虐待両親から救い出した少女リリー。彼女を預かることになってからエミリーの周囲で不幸な死が相次ぐようになり…といったホラーです。

実は子供が原因だったというホラーですと有名どころに「エスター」がありますが、ストーリー展開に必然性が乏しかったエスターと比較すると話の筋がしっかり説得力がありました。

結局リリーの正体はいったいなんだったのかは明かされることはありませんが、父親の言うとおり、人間の体に悪魔の魂を宿して生まれきたのだとしたら元々あったはずのリリーの魂も悪魔によって消えてしまったと受け取れ、本当のリリー本人もまた被害者だったのかもしれません。
最後に溺死したということは間違いなく体は人間であるはずなので…

既にリリーが何件もの里親の間を渡り歩いていれば遅かれ早かれその異様さに気づく人間がいたかもしれませんが、本当の両親から始まった不幸の連鎖に複数件の実例がないため、当事者にしかことの異様さが分からない点も含めて怖かったです。

数々の人を死に追いやりながらも求めるものが「愛情」というのも子供らしい孤独さを感じました。
ホラーらしいスプラッタ描写はないものの、どこまでもまとわりついてくるリリーの恐ろしさにゾッと肌が粟立つ良作でした。
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