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血を吸うカメラのRのレビュー・感想・評価

血を吸うカメラ(1960年製作の映画)
4.7
スゴいスゴい! ひさびさにこういうスゴさに出会った! めちゃくちゃ面白かったし、クールだった! タイトルだけ見てB級映画だと思い込んでたら大間違いだった! 昔のスラッシャー映画は、現代の映画にはない映画臭さと不気味な生々しさがある。それにはじめから終わりまで釘づけ。オープニングのブルズアイに始まり、目ん玉のクロースアップ、ショップウィンドウに佇む娼婦、近づくカメラ、2ポンドでどう?と娼婦、一人称視点で女のあとについてアパートに入っていき、服を脱ごうとする女をとらえるカメラが、どんどんどんどん女に近づいてって、何?みたいにぽかんとしてる女が、突然恐怖の表情に変わる。ぎゃーーーーーーーーーー!!! すると、男が映像をスクリーンに映写してるシーンに変わり、スクリーン上に白黒動画で、男目線のさっきの同じ映像が流れはじめる。そこでタイコルコール。恐ろしい映像に、荒々しくピアノを叩きつける恐ろしい音楽が鳴り響く! もうここですでに深い感動に痺れてお腹いっぱい! かっこよすぎ!!! 主人公はさっきの映像をカメラで撮影していた男マーク。小さな雑貨屋でありながらこっそりエロ写真屋でもあるお店でバイトしてて、時おり二階で売り物のエロ写真の撮影をしてる。と書いていくと、とんでもなくギラギラした狂おしい人物を想像するかもしれないが、実際は爽やか系(?)で気弱な、そこそこのイケメンシャイガイである。マークの本業は映画撮影のカメラアシスタントなのだが、プライベートでは彼個人のプロジェクトとして本物のスナッフフィルムの製作を進めており、恐怖をテーマに作品を作り上げようとしている。関係ない他人にとっちゃ何たる迷惑。けどなんだか憎めないところがある。てか、むしろ、なかなか好印象な男だな、とすら思えてくる。こんな奴を見てそう思ってしまう気味の悪さったらない。ある殺人のシーンでは、カメラの三脚をペニスにように剥くシーンがあり、なるほど、この男、こうすることに性的快楽を感じてるんだな。まぁその気持ちも分からなくもないな、ドキドキムラムラ、と一緒に思えてくるよう仕向けてあるから、映画とはつくづく恐ろしく不思議なもの。ところが、階下に住む気のいい女が、シャイでキュートな彼に少しずつ惹かれていき、マークもその子に心を寄せはじめる。いやはや、どうなることやら……てか、この女の顔、どっかで見たことあるなーと思って調べてみたら、ヒッチコックのフレンジーに出てた人やった。変な顔と言っても過言ではないくらい変わった面持ちだが、忘れがたい印象。さて、ふたりはこの恋を成就させることができるのか⁈ できないのか⁈ という一風変わった恋愛劇になっていく。まぁおおかたうまくいかんだろうと思いながら、かなりスリリングでもある。だって成就しないってことは、ね、そりゃあもう、男が女にあんなことやこんなことするってなっちゃうわけだから。そんなこんなが、ベタ塗りのペンキみたいな強烈な色彩とおどろおどろしいピアノで盛り上がり、しかもワンシーンワンシーンが妙にカッコいい、クーーール。これが面白くないワケがない。見てる間に3つくらい、この映画に影響を受けたんだろうなーと思った映画が浮かんだが、レイジングケインは覚えてるけど、あとのふたつは見終わる頃には忘れていた。こういうのは忘れる前にメモしとくべきだね。どなたか思い当たるものがあれば教えてください。たぶん映写のシーンだったと思うんだけど……というわけで、いろんな意味でたっぷり楽しめる、爽やか系(?)気弱なそこそこのイケメンシャイガイの異常な愛情でした。恐怖映画を愛するボクとはしては、これは何度も見たくなりそうだなー。ゲットしておきたい気もするがなー、迷うところ。まぁ後日もう一回見てどう感じるかっすね。
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