NAO141

ワールド・トレード・センターのNAO141のレビュー・感想・評価

3.2
2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロ(9.11テロ事件)の標的の一つになったワールド・トレード・センター。
あの日現場では何が起こっていたのかを描く実話ベースの作品である。
あの日大学生だった私はテレビ画面が突然この事件に切り替わり生中継される中で、「何が起こったんだ!?」とただただ呆然としながらテレビを観ていたことを思い出す。

本作は「良い映画」とか「面白くなかった」とかを言うべき作品ではない。
実話であるために正直ドラマ性は薄い。瓦礫に埋まった二人が励ましあって何十時間もがんばるという、極端に言えば「ただそれだけの物語」であるから、ストーリーとしての面白みが薄いのはやむをえない。しかしだからダメだとかいう話ではなく、これがあの日実際に起こっていたことなんだということだけを感じるべきなのだと思う。

驚くべきことに本作には一切の政治的主張は見当たらない。ただひたすらに、「あの日、現場では何が起こっていたか」のみをまったく主義主張・思想のたぐいを入れずに再現した作品である。
事件当日に現場に向かった警察官と消防士がエキストラで出演しているなど、忠実に当時の様子を描いているからこそ、事件の生々しさをも痛感する。

あの日、我々日本人の多くがテレビに釘付けになっていた時、テレビ中継だけでは伝わりにくい部分、現場ではどんなことが起きていたのかを知るために一度は観るべき作品かと思う。
※瓦礫に埋まったシーンが長いため、閉所恐怖症の方は少し御注意を!!
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