よもぎ

ワールド・トレード・センターのよもぎのレビュー・感想・評価

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まず、911テロからもう17年も経ってるのかと純粋に驚いた。
未だに貿易センタービルに旅客機が激突するニュース映像は鮮明に思い出せるし、この映画内で改めて観て恐怖に身が竦んだ。離れた国に居る私でもそれ位生々しくあの日の事を覚えている。

この作品同様にあの事件やその後を描いた映画やドラマは「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」、「ゼロ・ダーク・サーティ」、「ユナイテッド93」等々…数多く作られていて、日本でも確か作られていたと思う。

「ワールド・トレード・センター」で閉じ込められた警官二人とその家族、「ものすごくうるさくて~」で命を落とした父とその息子……
その物語はあのビルで死傷した犠牲者数千人の中の1人、2人の話で、あの日他の数千人分の命が失われ、更に多くの人々の家族が失われ、数え切れない人の人生が変わった。

その無数の身が引き裂かれる様な痛みを全て描ききる事は不可能で、聞き手もそれを全て抱え込む事は不可能だ。
だから数千、数百という数字に変換して頭の中で整理し、記録として時間と共に胸の底に仕舞い込み、痛みを押し流す。

それは悪い事ではない。人間は忘れる生き物だというのはそういう事なんだろう。生きていく上で忘れる事は必要な事だ。
それでも時々痛みを思い出す必要もまた、ある。その手助けをしてくれるのがこういう映像作品なのだと思う。
あの日を忘れない為に。
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