このレビューはネタバレを含みます
サスペンス?
はたまた、これはブラックコメディ?
モノクロ映像が不気味でありながら、なぜかスタイリッシュ。
実に不思議な作品である。
妻がありながら、9人もの愛人を持つ男・風 松吉。
業を煮やした妻と愛人たちは結束して、このどうしようもない浮気男の殺害計画を企てる…。
この軽薄なダメ男、浮気することに少しも後ろめたさを感じていない。
まるで挨拶するかのように浮気を繰り返す。
浮気の理由が呆れてしまう。
「雨が降って傘がないから浮気した」
「月がきれいだったから浮気した」
腹立たしさを通り越して、もはや笑ってしまうしかない。
女を騙そうとする下心がこれっぽっちもない。
子供のようなキョトンとした瞳に、女は母性本能をくすぐられてしまうのか。
全くもって女の敵?
それともただの正直男?
愛人の一人が、ついうっかり殺人計画を男に話してしまう。
そこから流れは一変する。
食うか食われるかの騙し合い。
そして訪れる予想外の結末とは…。
もっとドロドロの愛憎劇を期待してたんだけど、意外とそうでもなかった。
軽いテンポでサクサク進む、やっぱりこれはブラックコメディ。
愛と憎しみは紙一重。
可愛さ余って憎さ百倍。
男性の皆さん、気をつけて下さいね。
・妻の名言
「誰にでも優しいってことは、誰にも優しくないってことよ」