昭和36年のハーレムの痴話喧嘩。恋人ら一人一人の描き分け(配役)、ややメタな視点を利用した十人の女たちの内紛、どれもうる星といったハーアニメを先取りしたような内容で驚かされる。
カメラも自由自在で被写体が頭部のアップで上司に向かったかと思えば、平気でラインを飛び越えて画面端に引きこもったり縦横無尽に飛び回る。
ヒロイン二人の会話に背中を押し分けて入ってきたり、浮気相手と夫の悪癖を並べているとこで障子に描かれた女二人が立ち聞きしているように撮るなど、遊びにも皮肉が聞いていて楽しかった。
市川崑といえば、犬神家など箱庭のような画を撮る人という印象が強かったが、その考えを改めることになった。