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愛と追憶の日々のkouのレビュー・感想・評価

愛と追憶の日々(1983年製作の映画)
3.5
とても現実的な、しかしながら感動的な作品になっていると思う。描かれるのは親子の愛だが、綺麗事が一切描かれない。例えばそれは冒頭にも現れていて、赤ん坊が寝ているところを、息をしているかどうか母親はノイローゼなのではないかと思わせるように確認しに行き、赤ん坊を泣かせてしまう。結婚前夜の親子のやりとりは、感動的なものではなく、結局母親は式にも参列しないのだ。

娘の結婚生活も初めはロマンティックだが、次第に曇り始め、娘の浮気も描かれる。母親の恋愛も、ジャック・ニコルソンがまぁ見事に演じていて、欲望のままに自由なめちゃくちゃな男である。彼との何とも言い難い恋愛も、他の作品にはない面白さがある。

見事なのは娘の病気が見つかってから。悲劇であるが、そこからの美談にならないのも面白い。子供たちとの別れは泣かせるが、子供の反応をリアルに描く。また、亡くなる瞬間の夫の行動は、なんとも唸らされた。人間の一生は決して美しいだけでなく、余分なものも、雑多なところも沢山ある。それこそが、その中にある想いこそが感動的であるのだ。
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