「コレクションする女」
本作はエリック・ロメール監督による「六つの教訓語」シリーズの第4作で、この度BDが発売され、久々に鑑賞したが良い。監督自身も本人役で出演している。本作はフランス初のヒッピー映画とも言われるもので、46歳のロメールの初の35ミリのカメラ映画であり、ロメールの評価を確立した作品でもあるが、当時のフランスの高学歴青年層の対抗文化を体現する人物像の映画的記録としても興味深い。さて、物語はアドリアンは恋人の誘いを断り、商談のため南フランスのサン・トロペへ向かう。するとそこで男たちをコレクションする少女アイデと出会う。自由で奔放、気まぐれな彼女に苛立ちながら、アドリアンは彼女に強く惹かれてゆく…と簡単に説明するとこんな感じで、入江や木立にさす夏の光と室内を満たす濃い影、日差しの変化と夜の訪れが抑制と解放のドラマを演出しているところが素晴らしい。やはり撮影監督はアルメンドロスで、アドリアン役にはヴェンダース作品で知られる、ハリウッドで活躍するパトリック・ボーショーが出演しているのが良かった。本作は第17回ベルリン国際映画祭銀熊賞審査員特別賞受賞している。
