イチロヲ

サボタージュのイチロヲのレビュー・感想・評価

サボタージュ(1936年製作の映画)
4.5
善良な夫を装っているテロリストを捕らえるべく、独特の千里眼を持つ刑事が、夫婦が経営する映画館への潜入捜査を試みる。イギリス時代のヒッチコックが手掛けた、サスペンス映画。真犯人が最初から明示されるパターン。

私は中学1年生のときにテレビ放映で初鑑賞したのだが、例の「少年のシーン」があまりにもショッキングなため、それからしばらくのあいだ、荷物を届ける仕事を引き受けることができなくなってしまった。そういう意味では、私のトラウマ映画と言うことができる(「映画術」によると、このシーンを演出したことをヒッチ自身が後悔している)。

真犯人が映画館の支配人のため、舞台のほとんどが映画館内で進行する。当時の映画館の風景や風俗が垣間見えてくるのが面白く、妻が少しずつ人間不信になっていく過程が巧妙に表現されている。

妻に共感できるように作劇しているため、良い意味で判官贔屓が働いた状態での鑑賞を楽しむことが可能。例の「少年のシーン」により批評家の評価は低いが、「映画でショックを受けたい側」からすると最高級の作品と言える。