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ラスト・キャッスルのmaverickのレビュー・感想・評価

ラスト・キャッスル(2001年製作の映画)
4.0
01年のアメリカ映画。主演はロバート・レッドフォード。
『ラスト・キャッスル』というタイトルに納得。胸を打つ熱い人間ドラマだ。

ロバート・レッドフォード演じるユージーン・アーウィン元中将は、任務中の責任を問われ裁判で有罪判決を受ける。自分の責任だと感じているため、軍刑務所行きを自ら望む。彼は軍の歴戦の英雄であり、所長らも彼を丁寧に迎え入れる。刑期を無事に終えて家族の元へ帰ることが彼の望み。何も問題はないように思えたが・・。
刑務所あるあるだが、そこでは所長が決めた理不尽な振る舞いが横行していた。間違ったことが見過ごせないアーウィンは、この理不尽さを正そうとする。

どんな立場であろうと、人として正しいことをしよう。そんな主人公アーウィンの人間性に皆が感化されてゆく。
囚人らは何らかの罪を犯し、この刑務所へ送られてきた。彼らが犯した罪は悪いこと。だからといって彼らに何をしてもよいわけではない。刑務所とは罪を償うことを学ぶ場所。所長ら刑務所の人間は、そんな彼らの行為を見守る立場になくてはならない。囚人らは当初、この刑務所で腐っていた。どうせ自分らは罪人なのだからと。そんな彼らがアーウィンの人間性に魅せられ、正しい心を求めるようになる。これぞ本来の正しいあり方だ。しかし所長はこれを良くは思わない。自身が定めたルールにこだわり、アーウィンを中心にまとまってゆく様も面白くない。権力で押さえつけようとする所長と、正しいことを遂行しようとするアーウィンとの対決が描かれる。

ロバート・レッドフォードの魅力が光る。正義感の強い軍人役にぴったりだった。マーク・ラファロが、ひねくれものの胡散臭い囚人役で好演している。マーベル・シネマティック・ユニバースでは真逆の役柄を二人とも演じており、MCUファンにも本作は是非観てもらいたい。


アクション多めでエンタメ要素もたっぷり。最後の攻防戦がちょっと長いかなとは思うけど、じーんとくる良い作品だった。アメリカ映画らしく、祖国の忠誠心を問う作品性でもあった。自分を犠牲にするのが英雄というイメージを植え付けるのは良くないが、言わんとしているメッセージはしっかり伝わる。人は誰しも正しいことをしたいという気持ちがある。本作を観て、自分の中の善良な気持ちに改めて気付くことが必要なんじゃないかな。
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