景コマ

怪竜大決戦の景コマのレビュー・感想・評価

怪竜大決戦(1966年製作の映画)
3.5
はじめまして。一発目はコレ。東映制作、伊上脚本、松方弘樹主演の時代劇怪獣映画。ついでに忍者。そこそこのクソ映画を予想して鑑賞したら意外にもなかなかの力作でした。当時の東映時代劇の重鎮が参加しているようだが、自分にわかったのは主演の松方弘樹のみで、不勉強を恥じ入るところ。

名君の領主が配下に裏切られて殺され、その息子たる雷丸(後に自来也と名乗る。なお変身はしない)が謎の老人の元で身に付けた忍術(多分)で敵討ちに大暴れする。行く先々で雷丸が世話になった人が悪役連中に殺されたり拐かされたりして、敵討ちの重さが徐々に増していく様はなかなか見事。設定を上手く活かして、名も無きモブに鮮烈な味わいをもたらす中盤は、大いに魅せられた。自来也物語をベースにしているが、随所に源義経の逸話を巧みに組み入れている。
とはいえ、色々とガバガバな…もとい、大雑把な伊上脚本はこの頃から変わらない。スーパー忍術の説明はほとんど無く、中身もキン斗雲に乗ったり八艘飛びをしたりやりたい放題。前後の台詞の整合性が全く取れていない部分もちょいちょい見られ、良くも悪くも伊上節全開である。

特撮レベルは非常に高く、東宝の怪獣映画にはやや及ばずながら、似たような系統の「大魔神」シリーズの特撮シーンと比べても遜色ない。のちに『仮面の忍者 赤影』に再利用される巨大ガマや怪竜、大蜘蛛が巨大な城郭セットを破壊しまくる最終決戦は必見です。

「東映唯一の怪獣映画」と聞き、先日『キャプテンウルトラ』の第1話を視聴した身としては、あの自主制作クオリティが『仮面ライダー』前夜の伊上脚本で、しかも映画として描かれることを予想し、相当覚悟を決めていた。良い意味で予想を裏切られ、大満足の一本です。
景コマ

景コマ