R

幸せのきずなのRのレビュー・感想・評価

幸せのきずな(2008年製作の映画)
4.2
アメリカ人の知り合いがすごく好きだと言ってた作品をふと思い出したので見てみた! おもしろい! 1960年代、デトロイトで工学の大学教師をしてるカーンズは発明家でもあり、当時自動車のワイパーつったらひたすら同じ高速でゴシゴシゴシゴシ窓ガラスを擦るしかできなかったのを、小降りの時とかに、間隔をあけてワイパーを作動させることができないか、とふと思う。まさに我々のまばたきが間欠的であるように。で、既存の装置をユニークに組み合わせてそれをできるようにして特許も取るんやけど、そのアイデアを上手いこと口車に乗せられて、フォード社に奪い取られてしまう。で、それを訴えようと弁護士に相談するのだが、ある程度の(とはいえ莫大な)和解金で示談にした方がいいよ、大企業は金があるから弁護代何ぼでも払えてジワジワ時間だけ稼いで、こっちが音をあげるのを狙って来るからね、と提案。けど、それでは発明家に対する正義が守られないことになる、と頑なに裁判に持ち込むことを主張。だんだん闘いが長引いて行く中、妻はこれ以上もう無理、と、子供を連れて出て行き、弁護士にも見捨てられ、たった一人、自分だけで法律を勉強して、何年かけてでも裁判に持ち込もうとするという話。タイムスパンが全部で20年くらいあり、その間ずーーっと勝てるかどうかわからない孤独な闘いを続けていくカーンズのすさまじい執念を、映画でテンポよく描いてるのを見てるぶんには、応援したくなるんやけど、実際まぁ普通な人間の妻としてずっとそれに付き合わされるのは無理ってのも分からんでもないわな。普通に考えたらまったく勝ち目ないし。けど、だんだん娘、息子たちが、年老いていく父を応援し始め、援助していく様子は感動的だ。カーンズを演じるグレッグキニアという男優さんは今回はじめて見たけど、カーンズの美点と欠点の表裏一体を素晴らしい演技で表現し、欠点さえも魅力に転換されていくプロセスがすごくイイ! それにしても大企業って、利益やブランドイメージを優先させるがあまり、肝心の倫理を失ってしまってて、ほんまタチ悪いなー。それくらいの面の皮の厚さがあるからこそ大企業に成長するというのもあるのかもしれぬ。けど、真剣に努力した人たちを踏みにじった上に築かれるアンフェアなエンパイアなんなら、その在り方に疑問が投じられるのは当然のこと。なので、本作とかエリンブロコビッチとかフロウとかフードインクなどなどの映画はもっと多くの人が見て、常に心の中に置いておくべきなのではないかと思う。とはいえ、本作のレビュー数の少なさにはちょっとビックリ! まぁ主演もテーマも地味やもんなー車のワイパーの話とか興味ねーし、ということで今日まで見ていなかったワタシですから笑 けどすごくいい映画なので皆様、是非! 個人的にはいろんな意味でハラハラするクライマックスと、すごい高揚感に包まれたあとの、ビターなエンディングがすごく印象に残りました。けど、あそこでひっくり返ったらひっくり返ったで、お前何やねん!てなるけどな笑 ちなみに元のタイトルflash of geniusが日本では幸せの絆…ギャップありすぎ。幸せの絆って、映画のイメージ全然湧かないし。無難すぎておもんなさそうやし、何て残念なタイトル。もったいない。ゆーても主人公、ゾディアックぐらい執着心あるし、無難さなんてゼロの人生やねんで? 『間欠式ワイパー』くらいインパクトあるタイトルの方がいい映画だと思う。