もんてすQ

フレッシュのもんてすQのレビュー・感想・評価

フレッシュ(1969年製作の映画)
3.8
ジョーという美しい男娼の一日を描く実験映画
主演のジョー、ものすごい美形です

アンディ・ウォーホルの弟子による監督・脚本作品
制作としてデカデカとウォーホルの名前が入ってますが、ほぼノータッチみたいで、ウォーホルってそういう人なのね...と

「アートフィルムって寝そう」という先入観があったけれど、実際は意外と面白くて「もう終わり?」と残念だった
ひたすら意味のない(意味のわからない)会話ばかりが続くのだが、映像の美しさ(淡い色味や配置)に魅せられるのもあるし、この次に何が起こるのかわからないのも地味にワクワクできた

こういう内容だったらDVDや写真集を買ってコレクションにしたいな〜と珍しく思った
美術館で企画ないかな〜

ただフィルムをブッツンブッツン切る演出?よくわからないけど、結構不快だった





イントロ、ジョーの寝顔が延々BGMと共に映し出されるだけのシーンがずーっと続いて、自分の再生機が壊れたのかと思った

突然登場し、ベッドの上のジョーを枕で叩くジョーの妻
「起きて!シャワーを浴びるのよ!」
お金が欲しいから、ジョーに外で身体を売りに行くよう強要する妻
「体を売るのは辛いんだよ...」とジョー

妻はジョーの性器にストール?を巻いて遊び始めて、自分でツボる
「あたし、友達の中絶費用がほしいの。工面してよ?」
ジョーはだんだんイライラしている
(この辺で色々おかし過ぎて、実験映画だな〜とこっちは思い始める)

次のシーン、全裸のまま我が子と遊ぶジョー
カップケーキを食べさせるが、子供は赤ちゃんなのでボロボロこぼす
我が子にジョーが、一応の愛情を示しているのがわかるのでホッとする
ここの音声はサイレント

それから先、ジョーの1日(仕事)がどんなものかが展開されて行く...
以下ワンシーンのみ抜粋

ジョーが立ちんぼをしていると、ムツゴローさん似のおじいちゃんから、ヌードデッサンのモデルに$100で誘われる

ムツゴローさんの家(ムツゴロー王国)に入ると、ずっと『肉体の神秘』だの『古代ギリシャ』だの、どうでもいいことを「ベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラ〜〜〜〜〜〜(くどい)」と語られ続けるジョー(表情が死んでる)

本当にどうでもいいムダ知識を披露しまくるムツゴローさんに、観てるこっちはイライラして、ここでジョーがいっそ殺してくれればストーリー的に楽しくなる、とまで思ってしまったが、一応プロなだけあってか、ヌードモデル仕事はキッチリ務めるジョー
しかも、それ以後のシーンで「今日はラッキーだったから$100稼げた」とは言うものの、ムツゴローさんのうっとうしさには一切触れない

その後も、他の男娼との雑談、ストリッパーの友人らたちへの訪問(?)や古客との語らい、最後に再び妻と、初対面である妻の友人が登場し、ベッドの上で川の字になって3人が眠るところで終わる





大体上記のようなストーリー(のように個人的には解釈)です

他の男娼たちと路上で雑談するシーンのみ、ジョーが話の主導権を持っており、それ以外は誰かとの会話で相槌を打ったり、問いに答える程度
これはジョーが自身を売っているので、常に主導権は買い手にある、ということの暗示なのでしょうか?

また同じく路上での雑談シーンで、ジョーが「週の稼ぎは$180程度」のようなことを言っていた気がするのですが、当時のアメリカはこの収入で暮らしていけたのでしょうか?
確か「一回$10から」とも言っていて、「なんか勿体無いな〜」とビックリしましたが、当時の相場は事実そうだったのでしょうか?ドルがよほど高かったのか?

男娼の話といっても、性行為をしている場面は全くないようなものです(何でR-18なんだろう?)
ただジョーは、どのシーンでも服を脱がされてしまうので、必然的にぼかし処理はされてました
『ソドムの市』なんかは正直、ボカシのいい加減さが酷くて「(痛々しくて可哀想だから、ちゃんと隠してよ...)」と思ってたのですが、何にもやらない本作はボカシは徹底してて、そこが逆にバカみたいで可笑しかったです

妙なところばかりが気になってしまいました

《追記》
妻、レズビアンという設定でした
劇中で妻は『女友達』って言ってたけど、あれは実質彼女なのか...

あと夫婦揃ってヤク中という設定だそう
ダメ、ゼッタイ!

マニアックな映画は解説が本当に少なくて、書籍を当たってみないと...
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