安堵霊タラコフスキー

アニキ・ボボの安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

アニキ・ボボ(1942年製作の映画)
5.0
映画という媒体の魅力が多分に含まれた、マノエル・ド・オリヴェイラの驚異的初長編。

かつてのジャン・ヴィゴや後のフランソワ・トリュフォーにアッバス・キアロスタミらが作ったように子供らの感情の機微が瑞々しく描かれていただけでなく、描写も非の打ち所がないレベルで優れているから見ていて幸福感に包まれる。

リュミエール兄弟やロバート・フラハティのオマージュも随所に見られ、マノエル・ド・オリヴェイラが過去の映画についての造詣も深かったことが伺える点も嬉しい。

しかしこんな優れた映画をデビュー間もない頃から撮っていた監督が中々日の目を見なかったことには、人間社会の世知辛さを感じずにはいられない。(でも今では伝説の監督の長編処女作として燦然と輝いていることには逆に有り難みを覚える)