イワシ

無法の拳銃のイワシのレビュー・感想・評価

無法の拳銃(1959年製作の映画)
5.0
アンドレ・ド・トスの最高傑作。モノクロで捉えた雪原の酷薄な白さと緊迫した心理的対立が展開される屋内のショットを成立されたラッセル・ハーランの撮影に感動。翳りつつある威厳を傷を負った大きな体躯で保ってみせるバール・アイヴスの痛ましさを体現した佇まいが素晴らしい。

ロバート・ライアン扮する牧場主と農民達との対立が極まっていよいよ決闘にまで発展し、合図となる空の酒瓶がカウンターから転がり落ちるその瞬間、バール・アイヴス率いる群盗が現れるのだが、この酒瓶を追うトラッキング・ショットが何とも素晴らしい。

屋内における運動が暴力的なまでに過激化するのが、南軍くずれの部下達が町の女性たちとダンスをするシーン。ピアノが同一のフレーズを延々と繰り返し、人形でも扱うように髪を振り乱させながら身体を密着させて狂ったように踊り回る様子を360度パンのワンショットで撮り続ける。
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