あみるかん

ワンス・アポン・ア・タイム、シネマのあみるかんのレビュー・感想・評価

3.7
モフセン・マフマルバフによるイラン映画の歴史を描いた作品。イラン映画の歴史についてそれなりに知識がないと理解は難しいと思います。以下に簡単に内容の説明を書きます(⚠︎ネタバレ注意)

1900年、ガージャール朝第5代国王モザッファロッディーン・シャーの時代にイランにシネマトグラフが紹介されます。
今作の主人公は国王のお抱え写真師イブラヒム・カーン(実在の人物)。ひょんな事で第4代国王ナーセロッディーン・シャーの時代にタイムスリップしてしまった彼は、ナーセロッディーン・シャーに映画を紹介することに…何本かのイラン映画を観せていると映画から映画の登場人物が飛び出してきたり、映画の中に入り込むことが可能な事が判明!
そんなこんなで現実と架空世界が入り混じるドタバタ劇が展開して行きます。

イラン映画の知識がかなり必要な上に、時間と空間が歪み、18世紀のイランの生活文化についてもある程度理解が必要なため、本当に難しい作品。
最低限作品内で登場するイラン映画については事前に実際に観るか、Wikipediaであらすじを確認しておいた方が良いでしょう。

フィクションをドキュメンタリーの様に描く作品が多いイラン映画の歴史を、史実にフィクションを織り交ぜるというある意味真逆の方法で描いているのが面白い。イラン映画って本当に挑戦的な作品が多いです。
先ほども述べた様に有名なイラン映画作品の映像が数多く用いられています。権利の関係の問題とかなかったんですかね…(笑)実力と実績のあるマフマルバフでないと実現出来なかったのでは。

ダリウシュ・メールジュイの『牛』に関するメタな表現が面白かったです。というより『牛』の主人公ハサンが御本人登場してます(笑)

以下に作品内に登場するイラン映画を英題でまとめておきますので参考にして下さい。
・”Lor Girl”(1933) アルダシール・イラ二監督
・”Emperor”(1969) マスード・キミアイ監督
・”The Cow”(1969) ダリウシュ・メールジュイ監督
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