うみぼうず

ミュンヘンのうみぼうずのレビュー・感想・評価

ミュンヘン(2005年製作の映画)
3.5
ミュンヘンオリンピックの人質事件に直面した警察や軍が、どう対応しどう解決に向かうかを描く作品…と思って観始めたら、そのシーンは冒頭10分で終わり、報復暗殺へと話が向かう。
おもしろくなくはない、が、2000年代に観るのと2020年代に観るのとでは、しかも日本では感じ方捉え方が変わって然るべき映画と思う。9.11から20年、様々なテロとの戦いを乗り越え未だに中東問題は解決の糸口すら見えていないが、日本人の危機感と関心はかなり薄れていると思う。
基本的に世に出ているメディア作品はイスラエル寄りが多いが、本作の主人公もイスラエルから秘密作戦を命じられた"存在しない部隊"。暗殺初心者達が殺人の葛藤に苛まれながらも、「祖国のため」に動く姿は日本人には少し理解しづらい。
やったらやり返される、殺し合いの螺旋は続くし何の解決も生まないが、祖国への忠誠や国を取り戻す為には血が必要と思うのか。
パパとエフライムが対象的、血も人種も違うパパの方が心配してくれていて、本当に信頼すべきは何かを問われる。
映像と音楽はさすが、ではあるがエンドロールでそういえばジョン・ウィリアムズ音楽だったな。というぐらい音楽が印象に残らない。ノンフィクションでリアリティ重視だったからかもだが少しもったいないなと。カミンスキーの映画は冷たさがあり作風とマッチしていてよかった。
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