イロカワ

ミュンヘンのイロカワのレビュー・感想・評価

ミュンヘン(2005年製作の映画)
5.0
 スピルバーグの映画の中で一番異質な雰囲気を醸し出している作品。
 この報復チームの面々が好きだ。一人一人の能力が低くて、しかも助け合わない。お互いに嫌味ばかり漏らして惨めに這いずり回る。無様で人間臭くて死の恐怖に押しつぶされていく彼らが大好きだ。あまりにも可哀想で。
 冒頭の立て籠もりがフラッシュバックのような形で挿入される。時間軸も視点も全てを無視して私達の目に突きつけられる。あの場に主人公は居なかったので主人公の視点ではない。まるで亡霊のようにあの事件はこの世界に現れて人々を苦しめている。
 そして、ラストシーンに映るアレ。何も終わってない。これからもずっとずっと永遠にこれは姿形を変えて繰り返されるんだと。この世は紛れもない地獄だった。
 
イロカワ

イロカワ