ツタヤ

ミュンヘンのツタヤのレビュー・感想・評価

ミュンヘン(2005年製作の映画)
3.2
暗殺モノのサスペンス映画として見れば標準以上の緊迫感はありました。2時間40分超えの長尺も決して長すぎるとは思わなかった。

ただ歴史の一部となってしまった30数年前の出来事を基に描かれた、社会派映画として見るとどうなんでしょう。やや拍子抜けで終わってしまうエンディングのせいか、全体的に淡々としている印象で、心にズドンと響いてくるような作品ではなかった。もっと平和に対する強いメッセージ性を全面に打ち出しても良かったんじゃないかなぁと・・自分はもっとスピルバーグの心の叫びが聞きたかったです。

非常な勇気をもって平和に目覚めるユダヤ人を描いたような格好をしながらも、結局描けているのは一人のユダヤ人男性のユダヤ社会からの自立だけにとどまってしまっているような印象です。

それにしても、息詰まる暗殺シーン、終わりのない報復の連鎖、下半身丸出しのまま終了する男のテロリズム。これが1980年代にチャイルディッシュムービーを大量に作り続けてきたあのスピルバーグの演出でしょうか。感嘆するとともに若干の寂しさに襲われますね。
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